糖尿病の話をしよう 第4話

合併症で何がおきる?

 

高血糖が長く続くとさまざまな臓器に障害がでます。糖尿病の慢性合併症といいますが、血管の変化が進行しておきた一種の後遺症で、元には戻りません。

食後に200を超す血糖が10年以上続くと、細い血管の閉塞が始まり、目(網膜症)・腎(腎症)・神経(神経障害)が徐々に障害されます。眼科での網膜の検査で血管の変化が見えて糖尿病の体への影響の履歴がわかります。病変が網膜内ならば眼は見えています(ただし網膜の中心部がむくむと視力が低下します)。網膜の周辺(硝子体・虹彩=カメラの絞りにあたる膜)に病変が及ぶと突然視覚が低下することがあるので見える間に眼科に行きましょう。網膜症の程度、眼科で測った視力、自分で感じる視力は一致しないことがあります。

腎症は蛋白尿から始まり尿毒症に進行します。血糖に加えて血圧を抑え、塩分制限などの食事療法と適度な休養で進行を遅らせることができます。神経障害は足先のしびれから始まり、進行すると体調の変化への対応が鈍くなるので、異変を感じたら早めに主治医に相談してください。

太い血管に起きる動脈硬化は誰でもありますが、血糖が少し高めであることが積み重なって進行が早くなります。脳梗塞・心筋梗塞・足壊疽は糖尿病が軽症でも増えるようです。高血圧・高脂血症(脂質異常症)・肥満・喫煙など動脈硬化の促進因子があると、糖尿病の影響がより大きくなります。

無症状で糖尿病にきづかず、合併症が悪化して診断される方もいます。定期健診を受けておきましょう。(2019年7月24日掲載)