カテゴリー別アーカイブ: 図書室

糖尿病の話をしよう 3話

治療の目標は何?

糖尿病で起きているインスリンシステムの変化をもとに戻す方法は、今はまだありません。では糖尿病の治療は何のために、何を目印にするのでしょうか。

インスリン作用が欠乏して細胞がエネルギーの枯渇状態になり血糖が上がると、筋肉は衰え活力が落ちます。細胞内からエネルギーがあふれて血糖が上がると血管が障害されます。

糖尿病がない人では血糖はいつ測っても60~140mg/dl(緊張状態で糖分を一度にとったら200近くに上がることもある)です。空腹時で126mg/dl、食後で200mg/dl

を超える状態を糖尿病とよびます。この値は目や腎臓の細い血管の障害が増え始める高さです。

血糖は分単位で動くので、血糖の変動幅を推定する指標としてグリコヘモグロビン(HbA1c)が使われます。赤血球の中のヘモグロビン(酸素を運ぶ)にブドウ糖が結合したもので、1~3か月間の血糖の平均値を推測できます。

正常の血糖では5~6%です。グリコヘモグロビンが8.5%を超えると、筋肉が衰えて体力を落とします。7.5%をこえると細い血管の病気(合併症)が進んできます。低血糖を起こす危険性がない場合は、7%未満から6.5%未満を目標とします。

妊娠中は母子の健康と安全な分娩のために正常値を目標とします。健康寿命を縮めないことが一番大切な目標で、HbA1cは指標の一つです。

元気に暮らす体力と気力、低血糖をおこさない薬物の使い方があって、グリコヘモグロビンの数字が生きてくると考えます。(2019年7月17日掲載)