カテゴリー別アーカイブ: 知識の話

見えにくい世界からーバリアフリーを考えるー(女性のひろば2018年1月号)

 私に視覚障害とはなにかを教えてくれた師匠が二人いる。1人は歩行訓練士の清水美知子さん。数年にわたって月1回勉強会のあと夕食を兼ねて個人授業をしてもらった。見えなくても歩けるし食べられるし手も動く、なんでもできる、でも正しくできているかが確認できない。歩く向きが正しいか、足元は安全か。白杖をもって優先座席で文庫本を読む人は何者(視野狭窄の高度な人)。盲導犬にバス停へというと連れて行ってくれるか(無理です)。同じ障害でも先天と後天では全く違うことも教わった。点字を習得した人は私たちが墨字(普通の文字)を読むのと同じ速さで点字を読む。見えない世界が暗黒な訳ではない。白い人もギラギラ光る人も暗い人もいるのだろう。色をどう感じるのかも一様ではないかもしれない。先天障害は教育が重要である。一方普通に見える世界で暮らしてきた人が視覚障害になると訳が違う。何が起こったのか了解できない不安からのパニックを受け止め状況を認識することは本当に大変である。白杖を持てない人も雨傘で足元を確かめることは受け入れやすい。そんな一歩から見えにくい世界を生きていくことが始まる。

 ベーチェット病から失明、その後手術で片目の視力を取り戻した西川みどりさんがもう一人の師匠である。二人でずいぶん旅をした。知らない町で明るい間は私が道案内をする。日が暮れた帰り道は白杖をもつみどりさんが連れて帰ってくれる(白杖なしでは暗闇では立ちすくんでいるのに)。美術館で絵を前に「同じ絵をみているのか?記憶をみているのか?」と意地悪な質問もした。ツヤのあるナナカマドの実はみえないのに同じ赤い実でもリンゴはみえた。天の川の星数は私とはずいぶん違っていた。みどりさんは腰部の骨肉腫に侵され歩行障害がでてきた。全盲のご主人と二人で住むためのバリアフリーの家を建てた。車椅子には広い空間が必要で見えない人には手掛かりになる壁がいる。どうなっているのだろうと家族連れでお邪魔した。シンプルな和風のごく普通の家であった。玄関扉、上がり框、中庭を囲んだ部屋の配置などこだわりがあったようだがみどりさんは接待に忙しく解説できずくやしかったらしい。全盲のご主人が豆をひいて美味しいコーヒーをいれてくれる。みどりさんは使った食器が空になるや否や洗って食器棚に戻す。(これなんだ)と私は納得。バリアフリーとは暮らし方そのものなんだ。全盲の夫が自立して暮らせるように“いつも決まった場所にある暮らし”をしているということが見えたと思った。

 加齢はいろんな障害を持ってくる。なにができてなに困るのか その正体をみつけて具体的に回りの人に伝えたいと思う。字が大きかったら、明るかったら見える。正面から話しかけてほしい。カートを押したら楽に歩ける。自分の困っていることを伝える努力がバリアフリーの世界を創り出す力ではないだろうか。

歩き続ける足を守る(モービリテイを考える・女性のひろば2017年9月号)

 霊長類の仲間のヒトは4本脚から2本の脚で立ち上がって手が自由になり脳が発達し言葉ができて人間になった。2本足で歩く人間が腰痛に苦しむのはその時からの運命なのだろう。

 首に7個、胸に12個、腰に5個の臼型の椎体骨とクッションの役目の椎間板で構成される脊柱は緩やかなS字状の曲線で重力に対して人体を支えている。椎間板の寿命は60年だという。歩きだして60年 還暦後は賞味期限の過ぎた背骨を軸に暮らしていることになる。関節や筋肉の柔軟さを維持し動かし続けるには“お手入れ”が必要である。
関節(背骨・仙腸関節・股関節・膝・足首)を大きく動かす、体を支える筋肉が弱らないように使うことを暮らしの中で意識したい。一カ所でも痛いところができると動き方が違ってくる。床に大の字になって5分間天井のシミを眺めてみよう。本当に痛い所と無理にかばって動くことで痛めた場所(二次性疼痛)の違いがわかってくる。痛めた関節や筋肉の治療は専門家に相談していただきたいが無理をして悪化させた場所は力をかけずにゆったり動かすことで収まるようだ。何がなんでも歩くと痛い所を増やしてしまう。まっすぐ立って重心を感じながらゆっくり歩く 痛むときは休憩する 運動は体重をかけずにすむ(水中、座位、仰臥位等)形でやってみよう。転がる(芋虫ごろごろ)やハイハイもいいかもしれない、最初の一歩はハイハイをしっかりした子が上手だったものだから。

 痛みを我慢して無理に動くと怪我がつきもの、安全な移動のためには大げさと思っても補助具も使おう。杖(バランスを考えると2本杖やシルバーカーも)車いすも押してもらうだけでなく自分で押して歩いて疲れたら椅子に早変わり と思うと場所によってはずいぶん役立つ。まだそんな年では・・・と頑張るよりは安全に目的地にいってやりたいことができる自分を守るための道具として考えてほしい。

 そして一番大切な歩くための道具は靴である。素足文化の日本人は靴の選び方も履き方もずいぶん下手だ。ぴったりの靴をきっちり履くことで胼胝は消えるし膝や腰の痛みも軽くなる。脱ぎ履きの楽な大きな靴は手間を省いて足をいじめている。靴を足の味方にして歩いてほしい。

 自分の力で思ったように移動できる力(モービリテイ)は生きる上で大きな要素である。車(自分で運転、他者が運転)、公共交通機関、自転車、徒歩をいろんな条件で組み合わせて私たちは移動しながら暮らしている。自由な移動が保障される仕組みは自分らしく生きることを考えた時とても重い課題だ。

 還暦を控えて左右の股関節の人工関節への置換術を受けた私は普通に歩けない数年を経験して今は人並みとはいかないが去年の私よりは少し歩ける自分がうれしくてたまらない。

 元気を守る為のおすすめは 今の日常にプラス一日合計30分(1回3~5分でいい)
全身を力いっぱい意識的に動かすことだ。

食事 楽しんでいますか?(女性のひろば2017年5月号)

先生も糖尿病やで といわれているらしい、というのは気づいていた。学生時代から13号がぴったりの肥満体形である。ケーキバイキングで娘婿に“負けた”と言われて反省する食いしん坊だ。だが糖負荷試験をすると正常型で今のところ糖尿病は発症していない。

 去年の暮にリブレという名前の器械が入った。コイン大のセンサーを上腕に貼り付けておくと2週間の血糖の動きが連続線で見える。早速つけたのが金曜の午後、土曜から洲本温泉にいく予定があったので内心緊張しつつ出かけた。夕食は淡路島特産のフルコースである。心配しつつ完食したが血糖は140を越さずほっ。温泉につかって就寝、翌日は朝食バイキング、血糖の動きを眺めてはデザートまで食べきった。体重は気になったが血糖はあがらないんだと妙な自信をもって帰宅した。
 あけて月曜日、午前診を終え2時過ぎに遅めの昼食をとった。手作りの野菜メインの一皿である。食後に大好きな柿を1個食べて10分、なんと血糖は208まで上がるではないか。ショックを隠して午後の診察に入った。
 その後100人近い方の血糖曲線をみて えさでなく食事を食べよう というのが私の結論であった。
 血糖の正常値はいくらか?ときかれることが最近多い。簡単な質問 と思われそうだが実は大変に難しい。常にインスリン注射が必要な人や病気の時、妊娠中などは血糖を測る機会が多くデータがあるが 病気でなく元気に働いている人の血糖(分単位で大きく動く)のデータはほとんどないのである。高血糖が動脈硬化を促進する、血糖のスパイク(急激な上昇)は血管をいためる ということは動物実験で証明されている。では人の血糖の動きをどこまで“正常”と線引きできるのか。

 糖尿病の食事療法の考え方はカロリーを抑えることから始まり 次に栄養素のバランス 食べる時間(時間栄養学) 食べる順番 食物繊維の話などが加わってきた。しかし今まで 食べているのが人であること の意味は取り上げられてはいない。大脳が大きく発達して心の動きが体の動きを左右する人にとって食べる心は 消化器で調整される血糖の変動の基盤であるように思える。
食べることへの要求(食欲)は人の基本的な生きる要求である。日々の暮らしに不満がたまってきた時食べることの充足感で代用させると切り抜けられることがある。食事を満足して楽しめることには食後の血糖スパイクを抑える力があるのではないだろうか。

自分の望む体重を維持する量を3回の食事で楽しんで食べること、そしてちょっと多いと思ったらすぐに少しでも体を動かすことが血糖の変動を穏やかにするには役立ちます。
孤食はえさになりやすいハイリスク食です。一品ずつ持ち寄って仲間で一緒にしっかりしゃべりながらお昼を食べて さあ花でも見に散歩しましょうか?それとも九条守ろうのビラ配りにいきましょうか?(血糖の正常範囲 80から140 参考値)

あなたはやせたい?太りたい?それとも…(女性のひろば2017年1月号)

医師になって40年民医連の病院で糖尿病を担当、62歳の誕生日に“ぽらんのひろば”と名付けた診療所を家の近くでオープンして3年になります。子育て時代の友人たちと毎日おしゃべりを楽しみながらの診療です。元気な暮らしを守るためにお役に立つことがあったらうれしいな、と思います、よろしくお付き合いください。

どんな自分になりたいですか
身長、体重、血圧、脈拍、呼吸、血糖、握力、歩幅、歩く速さ・・・正面から見た顔は自分だとわかるけれど横顔も後姿も自分のことってあまり知らないのは私だけ?20歳では?結婚前は?出産前は?時間とともに変わってきたことも変わらないこともありますね。50を超すと母親そっくりといわれたり。歴史に学ぶのは政治だけではありません。自分の体の歴史も思い出してみましょう。次に10年後どんな自分になりたいか、考えてください。にんやりしたい素敵な自分がみえたでしょうか。

では今なにをしましょうか?
風呂上がりに鏡の前にまっすぐに立って、ぐっとお腹に力を入れて背筋を伸ばして顎をひいて・・・3か月後までに1キロ減らそう。駅への道で深呼吸しながら1分短縮できるかな。明日はおはようって声をかけて夫に珈琲をいれてあげようか・・・

わたしの食べ方をみつけよう
体重は食べ方で決まります。3食をきっちり食べて間食をしない(3時のおやつだけにする)。朝昼夕を同じ程度の量にする。減量目的の時は夕食の炭水化物を少なめにする(抜いてしまうのはやめましょう)。夕食後はカロリーゼロ。仕事で夕食が遅くなる場合は早めに食べて夜食は軽く済ませることです。ちょっと空腹(ひどい空腹でなく)で寝る我慢に慣れることがコツだそうです(聖マリアンナ医科大学・田中逸先生)。標準体重ではなく自分が動きやすくパワフルに暮らせる体重をみつけてください。

わたしの動き方をみつけよう
スポーツ選手の動きには魅せられてしまいます。彼らは素晴らしいけど決して健康ではありません。元気に暮らすための動き方は 強い、早い、美しいことと同じではないようです。日々の暮らしの中で無理なく続く今の自分の“力いっぱい”の動きをみつけてください。朝の五分、風呂上がりの10分、夫婦の散歩、友人との山歩き・・・テレビを見ながらのストレッチ・・・膝が痛い時は寝転がってゴロゴロ・・・仲間がいて楽しいことが継続のキーワードです。三日坊主いいですね、3日間の実績です。毎週新しい三日坊主をしてもいい、動くことに挑戦する自分でありたいと思います。

女の元気で社会をまもる
元始、女性は太陽であった・・・なら21世紀の女は?女の笑顔は家庭と地域を元気づけます。まずは自然な笑顔で暮らせる自分を守ることを大切にしましょう。そして ちょっと心を弾ませて体も動かしながら自分らしい生き方を仲間と一緒につくっていきたいものですね。

秋ですね

柿秋ですね
「柿が赤くなると医者が青くなる だよね」
結構男の人も柿が好きでにやっとしておっしゃいます
そうミネラルも糖質もしっかりあるから 栄養たっぷりだから 元気になって血糖があがっちゃう・・・
 私はみかん農家で産まれ育ったのでみかんと柿はいつもいっぱいありました
表の柿畑は分家のおじさんがつくっていて四角く橙色で大きな柿でした。
みかん山のすぐ手前の山の柿は少し小ぶりで真っ赤で甘さが濃くて大好きでした。
おばあちゃんが柿はおなかを冷やす とあまり食べさせてもらえなっかたのが悔しくて・・・
中学の頃、柿の値がつかない年が続いて叔父が山の柿の木を全部きってしまったときの悲しかったこと・・・
 日本の秋は 柿を代表に ぶどう 梨 りんご みかん・・・本当においしい秋です。
日本の秋を心いくまで味わいたいものです
そこでひとつお約束です
 明治生まれのおばあちゃんがいつもいっていました
朝の果物は金 昼は銀 そして夜は・・・鉛なんですって。
これが本当だと今はやりの時間栄養学で証明されてきています
美味しく甘い果物は朝に楽しくたべて 今日1日しっかり体を動かしましょう
暗くなってからの果物は冬眠前の熊さんです お腹まわりについてしまいます
少しおしゃれなお皿に 今日一番食べたい果物をのせて じっくり味わってくださいね
日本に住む幸せ 大切にしましょう(井上朱実)